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2008年05月25日

しっぺい太郎

しっぺい太郎 足神神社

 今から700年前のこと その頃 遠州見附では 矢奈比売神社(磐田市の学問の神様といわれる見付天神社)のお祭りが近づくと どこからとも無く 白羽の矢が飛んできて そこの家では 年頃の娘を人身御供(ひとみごくう)として差し出さなければならないという しきたりになっていました。

 そこに通りかかった 旅の僧が哀れに思い 怪神が信州の「しっぺい太郎」をおそれていることを頼りに 信州中を 捜し歩き 「しっぺい太郎」が 赤穂村(駒ヶ根市)の光前寺に飼われている犬であることを突き止め、この犬を借り受け 見付へ戻りました。

その年のお祭りの日、白木の箱に 娘の代わりに「しっぺい太郎」をしのばせ 神前においておきました。
 娘と思って箱を開けた怪神に「しっぺい太郎」は飛び掛り もみ合いの大乱闘となり 長い格闘の末怪神を退治した「しっぺい太郎」も 全身ひどい怪我をしていたのでした。

 旅の僧と「しっぺい太郎」は 信州の光前寺へ戻る途中 水窪の青崩峠付近で長旅と格闘の疲れで一休みしている時、「しっぺい太郎」が険しい顔をして僧に飛び掛ろうとしております。僧はとっさに
”元はオオカミの「しっぺい太郎」 さては 本性に戻ったか?”と 懐剣を抜いて 「しっぺい太郎」の喉元を一太刀にしました。落ちてきた「しっぺい太郎」の口を見ると 大きな毒蛇をくわえていたのでした。

僧に飛び掛ろうとしていた毒蛇から 守ってもらった事に気づいた僧は 後悔して そこにお墓を作って 大般若経六百巻を書き写して供養し 光前寺に届けたということです。
このお墓は 水窪町の足神神社近くに 今も祀られています。

しっぺい太郎 「しっぺい太郎」の墓



「しっぺい太郎」は 「早太郎」とも 呼ばれています。



この悲しい結末に 赤穂村の人々は語るのも為しがたく
 「しっぺい太郎」は 光前寺に 必死にたどり着き 恩になった和尚さんに 怪神退治の報告をして命絶えた・・・ということになっております。


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この記事へのコメント
この話は脚色して、人形劇にして「あひるの会」で上演しました。犬の動きが大変でしたが。いろいろな話が伝わっていますね。
Posted by けいこさん at 2008年05月27日 13:19
けいこさん
そうですね。
遠州から信州と舞台が広いだけにそれぞれ、話に相違があります。
このはなし、 「むかし、むかし」ではなく 丁度 「700年前」というのも 興味です? 
「あひるの会」活躍していますね。ブログでもご紹介下さい。
Posted by 木タロウ at 2008年05月28日 00:19
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    コメント(2)