自然の恵み

浜松市天竜区水窪町の住民で構成するおじさんバンド「トシ＆ムーンパラダイス」は２９日、同町の水窪文化会館でファイナルコンサートを開催した。会場には約３００人の地域住民が訪れ、結成４２年を迎えたベテランバンドの最後の雄姿を見守った。　水窪出身の８人でつくるバンドの結成のきっかけは、戦争などで家族を失った遺族を励まそうと４２年前に行われた遺家族慰安演芸会。志を同じくして集まった住民有志でバンドを結成し、「音楽で地域を元気にしたい」と、メンバーの補充などを行いながら演芸会後も活動を続けてきた。　敬老会や友人の結婚式のほか、地域の福祉施設などで定期的に演奏を行ってきた。だが、メンバーの平均年齢は６５歳を超え、声量の減退など技術面での不安を訴えるメンバーらの意見を尊重し、人前での演奏会は今回が最後となった。　メンバーと同世代の住民も大勢駆け付けた演奏会では、メンバーが作詞作曲した故郷水窪を歌った曲など約２０曲を披露。ベテランバンドの軽妙な演奏と巧みなマイクパフォーマンスで、会場は終始来場者の手拍子や笑い声に包まれた。　リーダーの水口利昭さん（６７）は「かっこわるい姿は見せられない。区切りを付けなければと思っていた」と語る一方で、「音楽を愛する気持ちは変わらない」と今後も趣味でバンド活動を続けると話した。山田啓さん（６３）は「『やめないで』という声をたくさんもらった。感無量」と地域住民へ感謝の思いを口にした。（以上静岡新聞から）

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